伝匠舎 石川工務所は、遠く鎌倉時代より下山大工の棟梁家を代々踏襲し、山梨県を中心に西関東全域にある寺社仏閣の造営に携わってきた工務店です。
高度経済成長にともない、自然景観と調和した美しい民家が次々にこわされ、地域のなつかしい風景が失われていくがあまりにも「もったいない」という思いで、古民家の再生工事も手がけるようになったのが1983年(昭和58年)のこと。以来、解体廃棄されるところであった200棟以上の古民家を再生してきました。
日本の伝統建築は社寺も民家町家も、大工が手刻みする材を組み上げる「木組み」構造で造られていますから、組んだ順に「ほぐす」ことができます。「リユース」という言葉などなかった頃から、改修、解体移築があたりまえだったのです。
立派な民家であっても、さまざまな事情によりその持ち主にとっては不要であったり、重荷になったりすることがあります。が「ほぐせるように作られている」ので、解体移築して再利用、再生することができるのです。長く生き残って来た民家の多くにその痕跡があることにおどろかされます。
「消えゆく素晴らしい民家を、一軒でも多く、よりよい形に再生して未来につなげたい」という思いで、再生・改修工事を重ねるうちに「うちの民家を、処分してしまうのは惜しい。活用してもらえないか?」とのお声をいただくようになり、このたび工務店に併設して不動産部門を立ち上げることにいたしました。
伝匠舎不動産では古民家はもちろんのこと、蔵、鐘楼、門や門扉、大黒柱や梁のセットなどを扱っています。伝匠舎の棟梁たちの技術で、みなさまのニーズに合わせ、責任をもって、新たに組み上げさせていただきます。古民家に住まわれたい方、古きよきものを活用する心ある設計者の方、社寺関係のみなさまに、この伝匠舎不動産の情報がよき知らせとして届くことを願ってやみません。
2021年1月
伝匠舎 石川工務所
石川 重人