ごあいさつ
社会資本となり得る「長生き建築」を 「抑CO2」につながる形で実践します
持続可能な社会を築いていくにあたり、自然環境を守り、社会を豊かにする建築をつくることが、我々建築に携わる者の責務として求められています。この責務を全うするために我々がつくるべきは、やがてゴミになる「消費財」ではなく、長く「社会資本」となるような建築です。これを当社本年の目標として掲げます。
「伝匠舎が考えるサスティナブル建築〜長生き建築」
(1) 一棟入魂 | 住む人のために心を込めて、丁寧につくります。 |
(2) 抑CO2 | CO2の排出を抑え、地球環境を守ります。 |
(3) 伝匠技法 | 先人の職人たちの知恵である「貫構造」を活かし伝えます。 |
(4) 耐震耐火 | 災害で滅失しにくいようにつくります。 |
(5) 長寿延命 | 愛着をもって、住み継いでいくお手伝いを。 |
国際的な目標に向けて日本の建築業界にも努力が求められる「抑CO2」については、次の3つの方針で対応します。
Ⅰ 文明派建築:使える新技術を使って、断熱化や電化を進めます。自然エネルギー由来の電気を蓄電する技術が、CO2を排出する化石燃料や放射能の危険と隣り合わせの原子力に依存しない暮らしを普及する鍵となることでしょう。
Ⅱ 自然派建築:山梨の豊かな自然環境にあって、自然の恵みを十全に活かした、自給自足的で環境負荷の少ない生き方を、建築的にお手伝いします。パーマカルチャーやパッシブソーラーにも取組みます。
Ⅲ 長寿命建築:古くなった建築をリノベーションして大事に使い続けること、長く使える建築を新築することの両輪で、現代の消費的な物づくりから脱却し、さまざまな時代の優良建築が調和的に共存する「積層型文化社会」を築きます。
これらの3要素は相反するものでなく、相乗するものです。抑CO2につながる形で「長生き建築」をつくり続けていくことは、この山梨の地における「サスティナブル建築」の実践にほかなりません。将来の「社会資本」となり得る建築をつくることで、社会をよりよくしていく一端を担ってまいります。
伝匠舎 (株)石川工務所 代表取締役 石川重人
※ パーマカルチャー:パーマネント(永久の)とアグリカルチャ-(農業)カルチャー(文化)を組み合わせた造語で、人間にとっての恒久的持続可能な環境を作り出すためのデザイン体系のことです。人類が環境を痛めない形で、自然の恵みをいただくエコロジカルな姿勢ですが、単に「環境によい」だけでなく、より「美しく」暮らしをデザインするのが特徴です。具体的には、家と庭と畑や果樹とを、日差しや水の流れ、四季の移り変わり、エネルギー自給、廃棄物まで含めた物質循環などを考えながら、総合的に考えます。
※ パッシブソーラー:パッシブソーラーとは、省エネを目的とし、太陽の恵みを活かした採暖、給湯などを行う住宅の設計手法です。機械類を使って太陽エネルギーを積極的(アクティブ)に取り込むのでなく、地形や立地条件、周辺環境を考慮しながら、建物の開口部を大きくしたり、軒の出を考えたり、蓄熱材や断熱材を効果的に用いることで、受動的に太陽エネルギーを利用します。
※ リノベーション:既存の建物に大規模な改修工事を行い、見違えるほどにより良く作り替えることを、リノベーションといいます。単なる修復ではなく「用途や機能を変更して性能を向上させたり付加価値を高めたりする」のが特徴です。古民家の構造はそのままに、現代の生活を営めるような間取り変更をする、古民家をレストランやカフェ、福祉施設につくりかえるなど「もったいない長生き建築」では、大事な行為です。
※ サスティナブル建築:サスティナブルとは「維持可能な」という意味で、サスティナブル建築とは、設計・施工・運用の各段階を通じて、環境負荷を低減し、地球環境に貢献するような建築をさします。建築のライフサイクル(ランニングだけでなく、生産から廃棄までを含む)を通じての省エネ・省資源・リサイクル・有害物質排出抑制、地域の気候、伝統、文化および周辺環境との調和しつつ、長期にわたる社会資本となるような建築物を構築することを目指します。
会社概要
社名: | 伝匠舎 株式会社 石川工務所(※伝匠舎は登録商標です) |
設計事務所名: | 株式会社 石川工務所 1級建築士事務所 伝匠舎 |
代表取締役社長: | 石川 重人 |
資本金: | 2000万円 |
社員数: | 26名 |
所在地: | 山梨県甲州市塩山上於曽1990番地 (花かげ通り向嶽寺東隣り) |
電話: | 0553-32-2170 |
FAX: | 0553-32-2171 |
メール: | ishikawa@densho-sha.co.jp |
業務内容: | 寺社建築工事、文化財建造物修理工事、古民家再生工事、水車工事、住宅建築工事、茅葺屋根工事、銅板葺き屋根工事、鉄筋コンクリート・鉄骨造建築工事、古材の販売、以上の施工ならびに企画・設計業務 |
沿革: | 1156年(保元元年) 保田山山城に下山在石川姓の棟札 1778年(寛政元年) 甲府善光寺金堂 棟梁 石川政五郎 1818年(文化15年) 塩山向嶽寺仏殿 棟梁 石川源三郎 1963年(昭和38年) 法人を取得 |
顧問弁護士: | 内田法律事務所 内田清 |
受賞歴
令和4年 (2022) | 日建連表彰2021 第2回土木賞特別賞 | 常磐橋修復事業 |
令和3年 (2021) | 山梨県建築文化奨励賞 | 休息山立正寺庫裏 |
令和2年 (2020) | 山梨県卓越した技能者(山梨の名工) | 有泉和人 社寺部長 (宮大工 文化財建造物修理) |
平成29年 (2017) | 山梨県建築文化奨励賞 | 丸藤ワイナリー事務所棟 |
平成27年(2015) | 山梨県建築文化奨励賞 | 西広門田の再生民家 |
平成26年(2014) | やまなし魅力のある建設産業推進協議会 優秀技能者賞 | 井上修 棟梁 |
平成25年(2013) | 山梨県 美しい県土づくり大賞 活動賞 | NPO山梨家並保存会 |
平成25年(2013) | 山梨県建築文化奨励賞 | 小荒間の家 |
平成23年(2011) | 山梨県 優良工事表彰 | 笛吹高等学校第3工区 |
平成22年(2010) | 国交省 住宅局長賞 木材振興表彰 | 伝匠舎 石川工務所 |
平成22年(2010) | 山梨県建築文化奨励賞 | 韮崎の家 |
平成21年(2009) | 山梨県建築文化奨励賞 | 上条集落 観音堂 |
平成18年(2006) | 日本建築学会関東支部第7回提案協議「美しくまちをつくる、むらをつくる」 優秀賞 | 甲州市「歴史的景観形成重要建築物」選定マップを作成したことについて |
平成17年(2005) | 関東甲信越建築士会ブロック会 平成16年度優良建築作品 | 白州前沢の家 |
平成16年(2004) | 山梨県建築文化奨励賞 | 白州前沢の家 |
平成13年(2001) | 山梨県建築文化奨励賞 | 市部の家 (店舗付き住宅) |
平成12年(2000) | 山梨県建築文化奨励賞 | 原茂園ワイナリー |
平成12年(2000) | 甲府商工会議所 環境大賞 | 古材のリユース |
平成10年(1998) | (社)日本建築士会連合会 地域実践活動表彰 | 伝匠舎 石川工務所 |
平成10年(1998) | 山梨県建築文化奨励賞 | 平沢の家 |
平成7年(1995) | 山梨県建築文化賞 | 梅の木のある家 |
平成4年(1992) | 山梨県建築文化奨励賞 | 山区の家 |
人材育成
「学び」「創り」「伝える」の社是にもとづき、人材育成に力を入れております。社内での若手育成はもちろんのこと、社寺や古民家再生を手がけることのできる人材を育てる事業には積極的に関わるようにしています。 また、地元中学生や専門学校生の職業体験受け入れ、県内の高校での特別講義などを通して、将来を担う子どもたちを育てるために当社としてできることをさせていただくこともあります。
外部事業への協力、参加等
NPO日本伝統建築技術保存会 公式Webサイト | 社寺建築を実践するのに不可欠な日本の伝統的な幾何学「規矩術」を身につける研修を当社社員に受けさせ、「文化財建造物木工技能者」の資格を取ることを奨励しています。関東地区の研修会場として当社作業場を開放した時期もありました。 |
公益社団法人 全国社寺等屋根工事技術保存会 公式Webサイト | 組織的な運営により、文化財である社寺等屋根工事の技術保存のその研究向上を図るとともに、社寺屋根工事技術者、檜皮採取者養成研修および文化財修理用資材の確保等を行い、もってわが国の文化財保護事業に寄与することを目的とする団体です。 |
ふるさとの景観を守る
当社の位置する東山梨地域には(そのほとんどがトタンや亜鉛鋼板などで覆われてはいるのですが)全国的にもめずらしい形状の茅葺き民家が残っています。茅葺きでありながら「切り妻」であり、養蚕のための空間・通風・採光確保のため「突き上げ屋根」をともなうというものです。 こうした甲州民家のひとつの形を保存、再生し、地域の美しい景観を残していきたいというのが、当社の夢であり、古民家再生、修復といった仕事を通じてその夢を少しずつでも実現していきたいと考えています。 国でも住宅の長寿命化を後押しする「200年住宅」政策を推進しはじめています。このような時代状況にあってこそ、これまでもってきた古民家をさらに住み継いでいくことの大切さを、環境重視の資源循環型社会づくりといった視点を加えながら、発信していきたいと思います。(詳しくはこちらをご覧ください) 町並や里山の景観というものは、ひとつひとつの家が集まり、まわりの自然環境と融和してはじめて成立するものです。景観のキーして今なお点として甲州市内に残る古民家や建築物を「歴史的景観形成重要建築物」として選び出したマップをつくり、これらを登録文化財としすることで守っていきましょうという提案もしています。(この提案を日本建築学会関東支部の第7回定案協議「美しくまちをつくる、むらをつくる」で発表し、優秀賞をいただきました。
赤芝集落の民家調査 | 2021年〜 NPO山梨家並保存会と工学院大学が山梨市文化財課と共に山梨市牧丘町にある赤芝集落を調査する。 |
上条集落のトラスト調査 | 2004〜2005年に、財団法人ナショナルトラストの支援を受けて、甘草屋敷に代表される甲州民家群の集積地である甲州市塩山の上条集落の調査をした。その活動が実を結び、2015年に、110番目の重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に認定されました。 |
NPO山梨家並保存会 | 塩山駅前通りにある歴史的建物「長屋門」を保存しようということがきっかけで、山梨の美しい家並みを残すための運動をたちあげました。 |
リンク
伝匠舎「社寺建築」 | 石川工務所の原点となる社寺建築についてご紹介するWebサイトです |
日本民家再生協会 | 古民家を保存・再生するための全国的規模の認定NPO法人 |
NPO日本伝統建築技術保存会 | 国産材を使い、伝統的な職人の技を使った木の家づくりをする全国のつくり手が共同で発信するサイト |
職人がつくる木の家ネット | 国産材を使い、伝統的な職人の技を使った木の家づくりをする全国のつくり手が共同で発信するサイト |
住宅産業研修財団HIC | 住まいに関するさまざまな情報を中立的な立場で横断的に網羅した住宅情報総合データベースです |
多摩川源流研究所 | 多摩川の源流部に着目し、源流を活かし源流にこだわったまちづくりを進めるための研究所 |
ウエちゃんの乙女高原自然観察記 | 自然からのかすかなメッセージを 「感性」を頼りに受け止め, 「想像力」を使って,あーでもないこーでもないと考え, 「好奇心」を武器に自然に対して自ら問いかけ,答えを求め, さらに,いろいろな人と,自然から受け取ったことや 自然に働きかけたこと,考えたことを「分かち合う」作業 なのではないでしょうか? |