おおらかな古民家とはちがった
奥深い、研ぎ澄まされた世界
日本の伝統建築の住宅には、農家や商家といった庶民の家であった「古民家」とは別に、茶の湯の発達とともに禅を背景に武家文化から生まれた「茶室」「数寄家」の流れがあります。古民家には、ちょうなではつった梁や、曲がり梁を使うような、自然なおおらかさ、自由さがありますが、茶室・数寄家となると、より研ぎ澄まされた感性、洗練、繊細さ、華奢さが求められます。
基本は同じ木組みの技術であっても、寸法体系により細かいきまりごとがあったり、「真・行・草」と場合に応じて材料や施工方法を使い分けたり、古民家より細い材料や白木を扱う分、木の性質を知り抜いていないとむずかしい面もあったりと、大工としてはより高度な技術を要求されます。むずかしいだけに、より上をめざす大工にとっては奥深い、やり甲斐のある仕事でもあり、伝統を伝承するために日々研鑽を積む努力を重ねる当社としても、積極的に手がけていきたいと思っています。