伝匠舎の長生き建築

日本の社会資本の蓄積を妨げているのは建造物の耐用年数の短さです。鉄筋コンクリート建築約60年、木造では25年から30年?でしょうか。耐用年数の短い建造物は不動産的価値が低く、不動産の売買では建築物が邪魔者扱いで、時に建物を解体処分すれば土地が売れるといった風潮さえ見られます。建築の寿命を延ばすために、古建築の修理再生をしようとするときに、これはたいへん不都合な現実です。

欧米の建造物は耐用年数が長いため、建築物の不動産的価値も高く中古建築市場が確立しています。新築した建物がやがて中古物件となっても相応の価値をもって売れますし、さらに改修工事を加えれば、さらに価値を増して高値で売れるといった状況もあるようです。

現在日本のフロー型社会は建造物などの社会資本の蓄積を難しくしています。このまま短命の建造物を造っては壊すフロー型社会を続けていれば、まもなく国は赤字国債の累積に苦しみ、個人は子々孫々にわたってローンに苦しむことになるでしょう。使い捨て文化からは決してゆとりは生まれません。

改めてストック型社会への移行を訴えます。フローからストックへ!しっかり造り大切に使う文化への移行をしませんか。建造物の長寿命化はそれぞれ使用される材質の原理原則に立ち返ることで可能です。鉄筋コンクリート造では60年を→120年に、木造では30年を→90年にすることができます。

フロー型社会は立ち止まることを許しません。社会資本が短命なゆえに、社会資本を維持するために、フロー型社会に生きる人々は常に働き続けなければなりません。フロー型社会では週休3日制はできません。仮にAIロボットに人間の身代わりをさせて働かせれば、当然ゆとりが生まれ週休3日もできるでしょうが、しかし同時に収入が減少します。貧富の格差は増大し、大半は貧者となり、明らかにごく少数の者が勝者となります。

大善寺薬師堂とパルテノン神殿

世界の最先端であるために、破壊と創造を司るシヴァ神のごとく、スクラップ&ビルドを繰り返す日本社会、しかしやはり人々がゆとりをもって豊かに暮らすためにはストックが必要です。そろそろフローからストックへ!子孫の幸せのために、急いで建築の長寿命化に取り組みませんか。