屋根と土台を直す

C. 屋根と土台を直す

古民家が傷む最大の原因は「湿気」です。そして、最も傷みやすい個所は土台と屋根です。土台は地面からの湿気で、屋根は雨漏りで傷んでいます。古民家を長持ちせせるために最も注意すべきはこの2点ですので、これらを健全に保つように修理しましょう。また最近は気象の変化でしょうか、横殴りに壁に吹き付ける雨も増えております。特に切妻屋根の妻壁からの雨水の侵入は問題で、根本的な対策としては思い切って真壁を大壁に変えていく方法も行われます。

1. 屋根の雨漏り

どのような屋根であれ、雨漏りの原因や箇所を発見することは大変難しく、特定できなければ適切な対応もできません。できれば最初から雨漏りしにくい屋根形状を考えておくべきなのかもしれません。また周辺に樹木の多い環境での軒樋の詰まりによって、集中豪雨で溢れた雨水が建物にかかってしまうという情けないことも起こります。

瓦屋根

瓦屋根の寿命は40-50年と言われます。瓦屋根は下り棟と隅棟の取り合いのところがよく詰まります。また年月とともに部分的にずれたり、割れたりしてきて、雨洩りがするようになり始めます。また屋根の谷も雨漏りが多く発生する場所です。天井や壁に染みができたりしてわかるのでそのまま放置することなく重大な問題なる前に早期にご連絡ください。

茅葺き屋根
茅葺き屋根は「差茅」で少しでも長くもたせる。

日本の茅葺きは、夏の高温多湿に弱い。つまり、じめじめしている時期に温度が高いことが、腐朽菌の温床となります。昔は囲炉裏で生火を焚き、小屋裏から煙を出していたため、燻されることで長持ちもしたのですが、今は家で生火を焚くことがなく、条件はより厳しくなっています。長持ちさせるポイントは、メンテナンスにあります。普段からどこが傷んできているかをよく見て、腐り始めている部分を抜き取って新しい茅を差込む「差し茅」をするだけで、持ちが大分ちがいます。茅屋根の寿命の短さを補うため、昭和30-50年ころに茅屋根全体をトタンで覆うということが広がりました。そのおかげで残った茅屋根も多いわけですが、最近ではトタン自体の寿命が来て、茅の内側から桁や梁やに水が浸透して腐り始めている家も少なくないので、要注意です。

2. 土台の腐朽
北側の土台が土をかぶっていないかをチェック

「昔の集落のあるところは、比較的地盤がいい」と言われます。しかし条件のよい土地でさえも、家の裏側にあたる北側は、山が迫っていたり、長い年月の間に裏山の土がかぶっていたり、水はけが悪かったりします。これが床下の湿気を生み、土台や柱、束の腐朽を進める原因となります。ひどければ、根太が腐り、床が沈んでしまうこともあるでしょう。床下に湿気があれば、シロアリも地中からあがってきて、家の足下に巣食うという悪循環にも陥ります。

土台が腐っていれば、取り替えなくてはなりません。傷み方が少ない場合には、土台の部分的な修理で済みますが、大がかりな場合は、家をいったん高さ1.5メートルくらいもち上げて(揚屋)、新しく基礎をつくりその上に土台を下ろします。家の北側に雨水や湿気がたまるのを改善するには、家のまわりに排水溝を回したり浸透管を埋め込むことも効果的です。

木は腐りやすいと思われがちですが、じつは乾燥していれば腐らず、何年でも長持ちします。屋根からの雨水の侵入を防ぎ、土台に湿気を残さないようにすることで、再生した後もさらに百年家は長持ちするでしょう。