地震も建築を無駄に失う
大きな要因
忘れたころに必ずやってくる巨大地震に遭遇すると、破損し修理ができなくなった建物は解体の憂き目に遭うこととなります。鉄筋コンクリートの建造物は撤去され、通し柱や桁梁の接合部が破断し修理不能となった木造2階建在来工法の住宅は解体されます。地震国日本において繰り返される惨状です。主要構造体の破断によって修理ができなくなった建造物では、幸いにして人命は守れたとしても、その解体処分とその後の再建費用は莫大です。
地震に対処する
3つの知恵
「耐震」とは、地震力に対抗し、破壊されない建物の概念です。木骨構造を土壁で厚く塗り籠めた「蔵型建築」はこれを目指しています。
「制震」は地震力を弱めることで破壊されにくい建物の概念です。柔構造である点は、日本の古建築に似ています。限界耐力設計による制震金物の使用などで実用化されています。ただし柱脚を固定した建築の場合は耐震性に不安が残ります。現状石場建である古建築の耐震補強にはたいへん有効です。
「免振」は地面と建物を分離することで地震力から逃がれ倒壊しない建物です。、日本の古建築の石場建がそれです。近年木造型の鉄筋コンクリート建築(ラーメン構造)でも免振工事が行われるようになりました。