なぜ、140年も現役で
使われてきたのか?
140年も現役として生き続けている幸運な建物の実例です。中央区区民会館(山梨県甲州市塩山)は、明治13年に擬洋風建築の名工、松木輝殷(てるしげ)の手により尋常小学校として生まれました。その後、移築(1回)と用途変更(4回)を経て、現在は区民会館として大切に利用されており、登録文化財に指定されています。
明治13年 | 新築 | 千野尋常小学校 |
昭和初期 | 改装 | 私立里仁(さじん)学校に |
昭和23年 | 移築・改装 | 塩山市警察署庁舎に |
昭和33年 | 改装 | 県立図書館 塩山分館に |
昭和57年 | 最後の改装 | 塩山市中央区区民会館に 現在に至る |
この実例で重要なのは、次の2点です。
① 用途変更に対応できた
建設当初は学校であったため、柱の間隔の大きい大空間を持っており、様々な用途変更に柔軟に対応できた。
② 建っている場所から移すことが可能だった
分解・移送され、そして再び組み直すことができる、しっかりした構造体(柱や梁)を持っていた。
大空間をつくることができる立派な材料が、素晴らしい構法で組み立てられているという特徴をもった建物であったため、このような経緯を辿ることが可能となりました。