伝匠舎の向かいにあった、ふつうの古い家。古民家というほど立派なものではない目立たない家でしたが、当社で買い取って「風流美」を発信するための二つのショールームとしてリニューアルしました。アニメ『となりのトトロ』に出てくる「サツキとメイの家」に似た、日本の擬洋風建築を再現した「花かげ写真館」、その横の蔵風の建物は「棟梁の家」と名付けました。
精巧な建具、重厚感のある蔵戸、味わいのあるガラスなど、昔の職人が手間をかけ、心をこめて作ったけれど、元あった家ではその役目を終えたものたち。古材、古道具、古建具たちには、廃棄してしまうのはあまりに「もったいない」ほどの魅力にあふれています。
長い時を経て味わいを増した、キラリと光るものたちを、積極的に使って、新築の家にも、リフォームにも「風流美」を!そんな伝匠舎の提案を、体感していただければと思います。
今回は「棟梁の家」をご紹介します。実は、遊びごころあふれた「ドッキリ!」するものが展示されているのですが、あえてここでは取り上げませんでした。事前に電話でご一報の上、ぜひみなさんの眼でお確かめください。
風流美ショールーム
花かげ写真館・棟梁の家
甲州市塩山上於曽1990番地
Tel:0553-32-2170
入場無料、要電話予約(当日可)
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左:真っ白い漆喰で塗られ、一見、蔵に見えますが、こじんまりした住宅として、作りました。
右:古い家から移築してきた門です。これ一つで家の格がぐんとあがります。
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左:「棟梁の家」の1階は洋間のリビング。天井の照明には欄間を埋めこむだけで、部屋の雰囲気が随分と良くなります。
右:重厚感のある蔵戸に強化ガラスを載せて、リビングの大テーブルの天板としました。
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左:リビングと廊下を仕切る建具は、ふだんは明かり障子になっていますが、夏場には、障子ユニットをはずして竪格子だけにして、風を通します。建具の衣替えですね。
右:二階にあがる階段の脇には、手すりがわりに古材の板をつけました。手をついて登っても、壁が汚れません。
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左:二階は半分板の間、半分畳敷きの座敷になっています。状態のいい引出し箪笥がアクセントになっています。
右:天井には、照明隠しを兼ねて、大八車をあしらいました。
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左:新ガラスですが、中央だけクリアガラス、まわりはすりガラスとしました。密集地などでは、中を見せすぎず、採光ができ、風景も切り取れるという優れものです。
右:畳敷きの角に「熾き床」を設けました。掛け軸を飾ったり、季節の花を活けたり、空間にキュッと週中力が出てきます、