NHK連続テレビ小説『花子とアン』。もう放送は終わってしまいましたが、平均視聴率は過去10年で最高の大人気だったそうです。主演の吉高由里子さんは、年末の紅白の司会に選ばれ、うれしい限り。花子の生家のロケセットづくりに伝匠舎も関わらせていただきましたが、これまでは交通の便があまりよくない場所に建てられていたので、見学することも一苦労でした。それが10月に、韮崎に移築されたとのことで、ご紹介します
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テレビでおなじみの花子の生家。奥に母屋があり、向かって左側が農機具小屋、右が便所。
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右に見えるのは「阿母里基督教会」こと、「蔵屋敷」
前回、紹介した韮崎市民俗資料館の裏手に建てられている「蔵座敷」のさらに左奥に、花子の生家は移築されていました。
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安全のため、建物の中には入れません。
不特定多数の人が中に入って見学できるようにするためには、構造の補強などが法律的に必要になるため、残念ながら中に入ることができません。その代わりなのでしょうか、母屋や農機具小屋には、たくさんの民具がありました。
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まるで郷土資料館のように、たくさんの民具が置かれている農機具小屋
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米作りに関する農具が多いです。
左の写真の左端にぶら下がっているのは「田車」といって、水田に植えられた稲と稲の間をこすることで、雑草が繁茂するのを防ぐ道具です。同じく左の写真の右下に置かれているのは、稲わらを程よい長さに切って、牛や馬の餌をつくる道具。右の写真に写っているのは「唐箕(とうみ)」と言って、手回しの風車による風の力で、よく実って重い米粒と、生育不良の軽い米粒や籾殻などのゴミとを選別する道具です。
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軒下にぶら下げられている、干し柿と凍み豆腐
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縁側から見上げたところ
この「花子の生家」が、本物の建物ではなく、撮影用のセットだということがわかる数少ないポイントです。一見、古びた茅葺きのように見えますが、実は合板の下地に茅の束を固定しています。縁側に座って見上げると、その合板の裏側を見ることができます。
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母屋の裏側の土壁
本物の古びた土壁のようにみえますが、実はボードの上に塗装してあるだけです。よく見ると、写真中央にタッカー(建築用のホッチキス)の針が見えます。
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茅葺きを見上げたところ
伝匠舎が施工させていただいた茅葺きです。分厚く見えますが、分解してトラックで運べるように、これでも普段より薄く作りました。貧しい農家であることを表現するために、わざと荒く葺いてあります。
韮崎市民族資料館
休館日:月曜日、木曜日の午前中(※祝日の場合はその翌日が休館日となります)
※ロケセットは、民俗資料館の休館日でも見学できます。
〒407-0004
山梨県韮崎市藤井町南下條786-3
Tel: 0551-22-1696
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