住まい手の声 インタビュー

黄菖蒲の家

思ってもみなかったように生まれ変わりました

幼い頃に育った父の実家を、思いがけず、引き継ぐこととなったYさん。ちょうど、別の場所に小さな終の住処をと、当社にご依頼があり、設計作業を進めていたところでした。

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左からYさんと、奥様、それに伝匠舎 石川

見せていただくと、築150年近く経っていながら構造はちゃんとしている立派な家でした。二階建てに下屋が取り巻いてついた形でしたが、二階建てになっている部分を主に残すことになりました。

「石川さんに相談した時には、はっきり言って、この家をつぶしてはいかんだろうけれど、荷が重いな、という気持ちでした。が、リフォームしてみて、古い形を残しながら、ここまで気持ちよく住めるようになるのかと、びっくりしました」

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骨組にまでほぐし一階は思い切って明るく

古民家のまま暮らしていくと、どうしても問題になってくるのが「暗い」「寒い」の二点。そこで、思い切って、南東は2階の床を取り払って、玄関を入った板の間とリビングが、大きな吹き抜けに。2階の窓から、燦々と日が入るようになり、元の古民家より格段に明るく、温かくなりました。

「家を骨組みだけにまでほぐして、きれいに洗ってもらった上で、今のあるような状態に直してもらいました。こんな骨組みに抱かれて、自分は育ったんだな、という感慨がありましたね」「きれいにした、という以上のことをしていただいて、とてもうれしいです。」

たとえば、元の家の時には、大黒柱も梁も、一階部分から見えるところしか見えていなかったのが、大きく吹き抜けになったことで、全部あらわしになりました。

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見えていなかったよさがあらわれてくる日々

「元の形では見えなかった二階部分の方が、柱や梁に自然な曲線があったり、荒々しかったり。あらたにこの家を発見している日々です。」

漆喰塗りの白い壁を新しく作ったために、黒く洗い出された木組みがよく映えて美しい。古民家の時には、見えていなかったものが、かえってよく見えるのです。

「ここを引き継ぐ話が出た時には、大黒柱もボロボロで大丈夫かな、ぐらいに思っていたんです。石川さんに見ていただいてあらためて良さに気がつかされて。出会っていなかれば、壊してしまっていたかもしれません。こうやって活かせてよかったです」

古いものの良さを良さとして認め、積極的に見せて行くこと。そこに伝匠舎の古民家再生の意義があります。

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「住の力」をあらためて

「衣食住って言いますけれど、住の力を、ここに住むようになって、あらためて感じますね」

住の力とは、家にただ居ることが幸せであること。心が安らいだり、広々したりすること。力強い木組みの安心感。繊細な建具の美しさ。空間があること。来る人が「わあ、いいわねえ」と言ってくださること。

見慣れた「古い家」には気づかなかった、新しい美を見せてくれる。古民家にはそれだけの力があります。つぶしてしまえば、それまで。せっかくの美しさを、活かしてませんか?

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    玄関には、当社の古材ギャラリーから蔵戸を提案。ぴったりでした。

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    広々とした玄関。正面は漆喰の明るい壁。

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    2階部分の床を取払い、壁をガラス窓にしたことで、1階には燦々と日が降り注ぎます。

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    台所とリビングの間の建具。夏は格子を障子紙の枠をはずして、風が通るようにします。

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    2階を残した部分には、陶芸家である息子さんの作品を飾ったギャラリー風の展示スペースに。

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    「二人で住む小さな家を造りかけていたところで、石川さんに『良い家じゃないですか!』と言われて、再生する決心がつきました」


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