大人気のNHK連続テレビ小説『花子とアン』。視聴率もうなぎ登りのようで嬉しい限りです。みなさんも観てますよね?
4月1日に放送された第2話を、まだ覚えていますか? 東京の女学校に入学するためには洗礼が必要と考えた父が、花子を連れて行ったのが、村の「阿母里基督教会」。2階の図書室の本を目当てに、花子と朝市が忍び込むシーンが印象的でしたよね。その撮影に使われたのが、韮崎市民俗資料館の裏手に建てられている「蔵座敷」でした。
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綺麗な建物ですが、これは伝匠舎がつくったのですか。
元は別の大工さんが明治初年につくり、韮崎駅近くの街道沿いに建っていたのを、昭和60年に移築したものです。伝匠舎は、その移築工事に関わらせていただきました。蔵の移築は、分厚い土壁を全部落とし、もう一度作りなおさないといけないので大変です。当時は建物の周囲の腰壁を美しいネズミ色の灰漆喰が回っていたのですが、日に焼けてすっかり色が抜けてしまいました。けれども北側には今でも当時の色が残っているので、是非、見てみてください。
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腰あたりから下の土壁が灰漆喰仕上げになってます
室内も、風流美のセンスにあふれていて、美しいですね。
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アールが綺麗な室内灯
この蔵屋敷は、お客さんが来た時に案内する離れとしてつくられているので、台所やお風呂、トイレといった設備周りが全くないんですね。元の持ち主は小野金六さんという韮崎の豪商で、造り酒屋をしたり、富士身延鉄道(後のJR身延線)の創設にも関わった実業家なんだそうです。食事などは母屋を使っていたようで、だから生活臭抜きの趣味性の高い建物が作れたんですね。屋根瓦には「小野」の字が入ってます。つくるの楽しかったんじゃないでしょうか。
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庇をささえる部材も、同じデザインのものが、向きを変えて使われていたりして、凝ってますね。
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手前と奥とで、部材の向きが90度違っています。
面白いでしょう? この建物のあちこちに、そんなアイデアが溢れてますよ。「花子とアン」のスタッフの方々も、それに負けじといろいろ工夫してました。この涼しげな欄間に色セロハンを貼って、ステンドグラス風にしたりね。
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撮影時には、周囲の四角く抜けている部分に色セロハンが貼られました。
石造りの門は、撮影用にNHKのスタッフが作られたのが、そのまま残っているのですが、実はハリボテなんですよ。触れると中がスカスカなのがわかって不思議な感じです。
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ハリボテの石門。軽くて倒れやすいので、斜めに木をあてて支えています。
ええっ! 全然わかりませんでした。NHKの大道具さん、スゴイですね。
でしょう。負けられませんよね(笑)。撮影は2013年の11月に2日間にわたって行われました。その時、元からあった杉皮葺きの門から富士山が見えて、花子のお母さん役の室井滋さんが思わず写真を撮ったそうです。すると、撮影の合間にスタッフもぞろぞろやってきて、撮影大会になったらしいですよ。今日はあいにく曇りで眺望がありませんが、ハードな撮影のさなか、富士山を眺めてリラックスしてくれていたんだなぁと思うと、山梨県民としては、ちょっと嬉しくなりますね。
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こちらは本物の門。空気が澄んでいる時には、奥に富士山が見えることもあります。
そうですね。この蔵屋敷は、誰でも見学できるんですか?
月曜と祝日の翌日が休館日ですが、それ以外でしたら、9時から午後4時半まで見学可能だそうです。しかも入館無料。風流美あふれる蔵屋敷を観て、みなさんも『花子とアン』の世界にひたってみませんか?
韮崎市民族資料館
休館日:月曜日、木曜日の午前中(※祝日の場合はその翌日が休館日となります)
〒407-0004
山梨県韮崎市藤井町南下條786-3
Tel: 0551-22-1696
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