省エネ意識が高まる中、断熱性能の高いペアガラス、日射や紫外線をカットするエコガラスなど、ガラスの機能面がクローズアップされていますが、ここであえてご紹介したいのが「昔ガラス」。薄いのだけれど真っ平ではなく、ガラス越しに見る外の景色は、なんだかピリピリ、ゆらゆらしています。平滑で精緻な平面をもつ現代のガラス窓越しの景色は、窓があってもなくても変わりありませんが、「昔ガラス」の窓からの景色には、違った味わいや赴きのあるもので、機能面では劣るものの「風流美」力はなかなかのものです。
人は紀元前4000年もの昔からガラスを作って来たそうですが、最初はビーズや器、食器などもっぱら立体に用いてきました。窓ガラスに使える板ガラスが登場するのは、だいぶ後からの事で、一般家庭に窓ガラスが入るようになったのは、工場で大量に作れるようになった1920年代以降のことだそうです。現代のガラス工場では、さらに平滑で強度の高いガラスが製造されていますが、技術が向上すればするほど、味わいやゆらぎといった「風流美」はどうしても失われてしまいがちです。
外環境から室内を守るという機能面では高機能なガラスの力を借りたいところですが、室内のアクセントとして「昔ガラス」という「風流美」を取り入れるのも、おもしろいのではないでしょうか。

歪んで味のある昔ガラス