トピックス

2025年3月10日

有隣園資料館 改修工事

大森安仁子の肖像画がある居間の暖炉

河口湖畔にある有隣園資料館(財団法人生涯学習研修財団所有)は、1937(昭和12)年に建築されました。

湖畔に面しながら外観を杉皮で包み、自然の中に同化して美しい湖の景観を損なわないその姿。2009(平成25)年に改修工事が実施され、建築当初の姿に復されると、2012年に国登録有形文化財に指定されました。

こちらには、大河ドラマ「いだてん」で話題となった大森兵蔵氏(オリンピック代表の初代監督、日本に西洋のスポーツを広めた方)の妻、大森安仁子(あにこ)氏が米国から持参した19世紀半ばの貴重な欧米の書籍が多数保管されています。

南側テラスから見える河口湖と富士山の絶景

有隣園資料館外観(西面)

一説に、旧帝国ホテルを設計した有名な建築家フランク・ロイド・ライトがデッサンをし、弟子の遠藤新が実施設計をしたと言われています。

有隣園資料館一階居間

この度16年ぶりに、台所調理器具システムと空調システムの設置等の改修工事をさせていただきましたが、登録文化財である本建物の当初の姿を損ねないための創意工夫が随所に必要でした。

エアコン工事着工前の暖炉

1階エアコン設置配管経路図

工事中。空調機の配管は煙突の中を通した

暖炉に仕込んだ2台のエアコン室内機

特にここでご報告したいのは、一階居間のエアコンの室内機2台を今は使用されなくなった古い暖炉の中に仕込み設置、配管は暖炉の煙突を利用することで、エアコン室内機と配管をすっかり隠して、昔のままの居間の風情を保つことができたことです。また、元々暖炉で使用していた火伏の覆いをその前に立てることで、エアコンの存在さえ忘れてしまうほど、このアイデアは効果的であったと思われます。

工事の着工は2024年11月、完成は2025年3月でした。厳冬期に1か月の休止期間があって、実質延べ約3か月の工程でした。
(参考資料:富士河口湖町教育委員会作成の説明看板)