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2021年5月31日

大村智博士にお会いしました!

改修された生家と土蔵の前にて

ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智博士。博士が生まれ育った生家と土蔵の再生改修工事をさせていただいたご縁で、今回お会いする機会を設けていただきました。

大村博士の生家があるのは、甲斐武田家発祥の地としても有名な山梨県韮崎市神山町鍋山。富士山や八ヶ岳などの名峰と甲府盆地が一望できる風光明媚な場所です。詩人・大岡信さんの言葉に「眺望は人を養う」とありますが、人間らしさは「情緒」によって養われ、情緒を養うには、幼少から自然に触れ何かを感じることが大切。恵まれた山梨の大自然の中で育ち、本物の感動をした経験が、人間として科学者として今も生かされていると、大村博士は言います。

韮崎市から見た富士山と桃源郷

韮崎市から見た八ヶ岳

「これいいでしょ?」と大村博士が指さしたのは、庭のほぼ中央に置かれた石碑。そこには信条である『実践躬行(じっせんきゅうこう)』という文字が刻まれています。「言ったことは絶対にやってみせる、嘘を言わない。まずは信用される人間になるということが勉強よりも先だよ」。その信条を貫いて、これまでに10億人以上の命を救ったと言われる薬剤「イベルメクチン」を開発し、平成27年にノーベル医学生理学賞を受賞したのです。

庭には「実践躬行」と刻まれた石碑が

大村博士の生家及び土蔵は、令和元年11月に国の登録有形文化財(建造物)に指定されました。主屋は明治40年頃に建てられた木造平屋、土蔵は大正5年頃建てられた2階建てです。再生改修工事では、建築法規をクリアした上での意匠や登録有形文化財としての品格や価値を損ねない設計や施工に苦慮しました。

竣工時の生家内観

「私が一番嬉しかったのは、入り口の右側に二本の柱があるでしょ? あれを残してくれたこと。江戸時代の古い栗の木。しかも、継ぎ木だよ。当時の面影がちゃんと残っているけど、こちらの方がはるかにいい(笑)」。生家には当時の面影とともに、子どもの頃の思い出がたくさん詰まっています。

生家入り口にある継ぎ木の栗の木の柱

囲炉裏の近くには兄弟の身長を測って記した柱が

囲炉裏を囲んで

現在、主屋は「セミナーハウス」、土蔵1階は「シェアキッチン」として活用されています。また、土蔵2階は移住体験スペース「お試しハウス」として、県外から移住を検討されている方は無料で数日間滞在することができるそうです。

最後に、大村博士が弊社に贈ってくださったありがたい言葉があります。『復古創新』過去から本質を学び、未来からの視点で想像する。「この言葉好きなのだよ。これがまさにお宅の会社にぴったり」。弊社の真髄を見事に捉えている言葉です。これからも“復古創新”の精神を曲げずに、励んでまいります。

「復古創新」という言葉を贈って下さいました