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2025年1月31日

残した富士吉田市の記憶 O家住宅

竣工(北東面)。蔵は主屋の西側に移築され、主屋は解体され減築され再び建てられた

国道138号線、通称・富士パノラマラインは山中湖村平野から富士宮市朝霧高原へ通じる主幹道路です。金鳥居のある富士道との交差点から、この道を北富士本宮浅間神社方向にしばらく行ったところにO家住宅はあります。

工事着工前の外観。蔵と主屋(北東面)

かつて富士吉田市の主要道路の一つとして栄えた街並みも、この度の大規模な道路の拡張工事によってその多くが失われようとしています。その中にあってO家住宅の蔵と主屋は新道路の幅員に掛かり、期限内の解体撤去が求められましたが、施主の古い自宅に寄せる思い強く、大規模な移動と減築復元によって、富士吉田市の記憶、掛け替えのない歴史的景観が守り残されることとなりました。

作業場で仮組された主屋の小屋組み

上棟式当日の様子

柱脚が数多く根継ぎされ、新しい土台の上に立った

建物を曳家して後退させたいのですが、裏側には二階建ての新居が建っていて、これが二棟の移築を難しくしていました。考案を重ねた結果、最終的に今回の方法が実施されました。

竣工 主屋主面(北面)

竣工 主屋二階内観

竣工 第一期工事で移築修復された蔵

蔵の移築工事を主体とした第一期工事の着工は令和5年9月、竣工は令和6年2月、約6か月の工程でした。また、主屋の移築復元を主体とした第二期工事の着工は令和6年3月、変更増額しての竣工は令和7年1月、約10か月の工程でした。