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2024年12月16日

専修寺楼門(重文)保存修理工事 完成

専修寺楼門の保存修理工事が完成(正面)

栃木県真岡市にある高田山専修寺(せんじゅじ)は、西暦1225年(嘉禄元年)、親鸞上人が53歳の時、真岡城主 大内氏の懇請により建立されました。親鸞上人が創建した唯一の寺と言われ、浄土真宗発祥の根本大道場として知られています。

専修寺を中心とした門弟は「高田門徒」と呼ばれ、浄土真宗最大の教団でしたが、戦国時代に兵火によって消失するなどの経緯があり、教団の中心は伊勢国一身田へと移りました。高田山専修寺の現在の姿は、江戸時代になって復興されたもので、高田派ではここを「本寺」と呼び尊んでいます。国指定史跡「専修寺境内親鸞上人御廟」のほか、いくつもの諸堂が文化財等に指定されています。

専修寺楼門 工事着工前(正面)

総門と如来堂との軸線上に乗っているこの楼門は、元禄年間(1688~1703年)の建築で、国の重要文化財に指定されています。軒の三手先の組み物などが見事で、また「高田山」の扁額は前天台座主一品公猷法親王の筆によるものです。工事着工前は屋根が瓦葺でしたが、建立当初の茅葺屋根に復元されました。

楼門をすっぽり包む上屋の中で、カニクレーンを使用し大断面長尺部材の解体

解体した部材は工事現場内に設けた保存庫に一時収納

真岡市教育委員会の主催で開催された見学会での一コマ。伝匠舎の大工有泉棟梁が解体した部材の修理の様子を解説

文建協の佐藤主任の指導のもと、修理を完了した部材を再び組み上げる作業を行っている様子

楼門の第一層、第二層と組み上げたのち、最終的に小屋の組み上げを行った

足場3階ステージ上で行われた楼門の屋根工事の様子。屋根は瓦葺から建設当初の茅葺に改められた。伝匠舎の茅葺職人 新津棟梁が担当

完成した楼門を見上げると、三手先の組み物や尾垂木がたいへん見事

設計監理は(公財)文化財建造物保存技術協会、着工は令和4(2022)年1月、竣工は令和6(2024)年12月、約3年に及ぶ工程でした。