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2012年5月1日

切妻突上げ形民家:ふくすけ

竣工正面外観

竣工正面外観

地域の原風景を形作っている古民家に、その地域特有の形状があれば、それは大切な宝ものです。ここで重要文化財の「甘草屋敷」や上条集落に代表される切妻突上げ形民家群のことを、福助人形によく似ていることから福助型民家群と呼ぶことにいたします。

「ふくすけ」S邸は地域の形への強い憧憬から生まれた新築住宅です。当然縁起が良いことは請け合いです。

また、ふくすけは断熱性・気密性に富んだ省エネ住宅でもあります。冬はテラコッタの土間縁が太陽エネルギーを蓄熱し夜に熱を放出します。ストーブなどによって温められ空気は一階から小屋裏へと上がっていき、ダクトファンによってまた床下に吹き戻されて循環し、快適な温熱環境を作り出しています。

一階床面積は約30坪、二階床面積は約15坪、延べ45坪、工事着工は平成23年8月、竣工は平成24年4月、約8カ月の工程でした。 

福助人形

福助人形

解体処分された峡東地域の甲州民家。解体現場から大黒柱と梁組を譲り受けた

解体処分された峡東地域の甲州民家。解体現場から大黒柱と梁組を譲り受けた

藤木作業場内に収納された大黒柱とクリの梁組

藤木作業場内に収納された大黒柱とクリの梁組

古材に新材を加えて、神金の作業所で仮組

古材に新材を加えて、神金の作業所で仮組

建て方が始まって・・・

建て方が始まって・・・

 茅葺き民家の中央部を突上げて採光と通風を取る形状は、この地域の養蚕の歴史の中で生まれた

茅葺き民家の中央部を突上げて採光と通風を取る形状は、この地域の養蚕の歴史の中で生まれた

この突上げが小屋裏部屋に明るさと開放感を与え、魅惑的な室内空間を生み出します。

小屋裏まで伸びる長大な大黒柱と、そこから枝のように伸びる太い梁組(古材のリユース材)の吹き抜け空間はたいへん力強い

小屋裏まで伸びる長大な大黒柱と、そこから枝のように伸びる太い梁組(古材のリユース材)の吹き抜け空間はたいへん力強い

一階の掃き出し窓から小屋裏の天窓までの高低差による気圧差で発生する風が、室内を爽やかに吹き抜けていきます。

二階の小屋裏部屋は楽しく魅惑的な空間

二階の小屋裏部屋は楽しく魅惑的な空間