2025年7月31日
社寺バンク登録「鐘楼堂」が白馬に再登場

白馬村に移築復元された鐘楼堂
建築物を生かして解体することを解く(ほどく)といいます。日本では古来、社寺や民家に限らず時々の事情によって、実に多くの建築物が現地であるいは移築された新地で再生活用されてきました。

再利用された古材とヒノキの新材との違いが見て取れる
そして、それを支えてきたのが伝統工法による建築技術です。伝統工法によって組まれた建築物は、それを解きまた組むのにふさわしい造りをしています。そして結果、後世に実に多くの古建築を残し伝えてきました。

処分してしまうにはもったいない…解体格納前の鐘楼堂の姿

解体格納された部材一式(柱や貫や斗供を生かし取り)
平成28(2016)年、解体格納された鐘楼堂は伝匠舎の倉庫に保管され、弊社HPの社寺バンクに掲載されました。解体時に取り置きされていたのは、柱や貫などのケヤキの大断面の軸部材と斗供(ときょう)などの組み物です。その後、新たな引き取り手を探しておりましたところ、令和6(2024)年に長野県白馬村への再建立が決まりました。

軸部材は貴重なケヤキの大断面材、制作に手間のかかる斗供とともに修理し再利用する

桁から上のパーツはヒノキの新材で製作(伝匠舎の水口棟梁)

仮組が完成した鐘楼堂の美しい屋根組
工事の着工は令和6年5月、竣工落慶は令和7年7月、準備期間も含め約15か月に及ぶ工程でした。桁から上のタルキやその他屋根を構成する部材は、ヒノキ材によって新調されました。

現地での建て方、まず修理された柱や貫などの軸部材を組上げる

続いて小屋(屋根)を組む、写真は大屋根を支える隅木を仕込む様子