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2020年11月1日

大村博士生家 改修工事【進行中】

新材への手斧(チョーナ)掛け作業

大村博士生家及び土蔵再生改修工事は、令和2年4月13日に韮崎市の公共工事として弊社が受注、令和3年3月20日までの工期を頂き、完成に向けて現在工事が進められています。

今回の工事は、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智博士が生まれ育った生家と土蔵の再生改修工事。令和元年11月15日に国の登録有形文化財に2棟の建物が指定されて居り、プロポーザル方式で公募され、大変名誉なことに弊社がその重責を担う事となりました。

生家については、構造体や既存部材を再利用する為の全解体と繕い作業を施し、新設された基礎の上に一部増築された部材を組み込む等、建築基準法上の新築扱いで施工される工事内容で、登録有形文化財としての品格や価値を損ねない設計や施工が要求されました。

また土蔵については、一部増築して現地再生改修の工事となり、使用用途に合わせた設計が行われ、やはり登録文化財として意識をしながらの工事となりました。

一番苦慮し現在でも試行錯誤しているのが、建築法規をクリアした上での意匠や施工の方法です。例えば、換気扇や給気口本体、ダクトの配置や経路、外部に取り付ける排気のフード等の処理、換気量を確保する為の開口等で、如何に目立たなく設置し、金属等を直接露出させない工夫や施工が必要となります。

現在、生家は外周部の木工事がほぼ完了、内部の造作作業が行われている状況で、土蔵は増築部の組み上げが完了し、外周部の木工事や造作工事が行われています。

既存材への繕い作業


仮組完了(伝匠舎神金作業場)


10月14日 建て方開始


建て方 進行中


建て方 軸部材完了

工事の流れとして、内部外部の痕跡調査を行いながら、部材の番付作業、弊社の加工場に運搬して部材の繕いと仮組、増築部の加工や、取替え材等手斧でハツル加工も加え、組み上げた時の違和感を無くす工夫も行われました。10月14日から建て方作業が始まり、内部の構造体も大変見栄えのするものとなりました。

建て方から3日程して大村博士が現場に現れ、その後も度々現場を訪れては大工職人の仕事を誉めて頂き、大変名誉なことと感じております。令和3年3月の竣工に向け、現在も着々と工事が進んで居り、今まで行ってきた工夫や努力、大工職人の技術や意気込みが、訪れた方々に感動を与えられる様な建物になる事を確信しながら、最後まで気の抜けない思いで取り組んでおります。

10月16日 工事現場全景(向かって左に主屋、右に蔵)