2009年3月21日
観音堂:土壁塗りワークショップ開催
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土練り体験、男子学生さんは膝をまくって大騒ぎ
当社社長の石川が代表理事を勤めるNPO山梨家並保存会は、平成21年3月、観音堂の修理工事現場で土壁塗りのワークショップを実施しました。場所は山梨県甲州市塩山下小田原の上条集落で、工事中の観音堂は集落の扇の要の位置にあります。
当日は県内外から31名の参加をいただき、竹割り、小舞掻き、土練り、土壁塗りを体験していただきました。土は、観音堂の壁に使われていたものを練り直し再利用しました。
土とワラを練り合わせる作業では、土が発酵しているため、「ちょっと臭いね」という声がちらほら…。しかし、そんなことはお構いなし!若者は土の中に裸足で突入!!このワークショップを大満喫していたようです。
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田舎の道端に作業場をしつらえて、竹割りと小舞掻きの様子
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左官さんに習って小舞掻きの実体験
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お父さんに付き添われてかわいい女の子も挑戦
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土を団子にして塗り手まで運びます
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4班に分かれて作業、一面ずつ壁を仕上げていただきました
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元気な女性の参加も多く、たいへん助かりました
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御年配は昔の経験を生かしてさすがに上手
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地元の仲良し3人組?地元からの参加も多く感謝です
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昼食の後、広瀬左官さんから土壁の講義を受けました
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参加者全員で記念撮影、穏やかな天気に恵まれました
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地元の中村サト子さんとNPO事務局員の柳通さん
報告:松前 俊顕 正会員
NPO山梨家並保存会主催の塩山上条集落の観音堂の土壁イベントに参加した。この集落には山梨峡東地域民家の特徴である突き出し養蚕農家が多く残る。村の入口から見上げる20数棟の巨大な古民家には迫力を感じる。集落の背を囲うように山が迫り、起伏が大きく狭い耕作地は機械化も難しいと思われる。経済的な制約から、建替えに手をださなかったいうことが幸いして残った民家集落なのかも知れない。
イベントは地元新聞にも紹介され、地元の村人も含め参加人数が30人ということで4班に分かれて土壁の各作業をこなした。村の中心にシンボルのように建つ観音堂の屋根のトタンは剥がされ、まだ足場の鉄骨には囲まれているものの、真新しい茅葺屋根が初春の空に金色に輝いていた。参加者の会話も弾む。余程嬉しいのだろうか、村人の誇らしげな顔が印象的だった。お堂の完成のあかつきには、観音様が村を守る様に安置されるのを楽しみにしているそうだ。
一方、後継者問題が何とかなればと話しているのが聞こえる。塩山駅からは4kmと、経済の中心から近く、決して辺境ではないこの集落には空き家が目立つ。萱の屋根には囲炉裏やおくどさんから出る煙やすすがいるんだとつぶやいていた。古民家の保存には、建物というハード面と、そこでの生活というソフト面が両立することが肝要であろう。市の行政でも近年空き家紹介を始めたものの、村の人口は減るばかりだそうだ。経済的なインセンティブが必要なのだろう。
観光であれ、別荘としてであれ、古民家を多く抱える地方と国内外の経済を結び付けることが、地方の活性化、さらに古民家保存に繋がることを感じた。