2009年6月1日
「北杜の館」N邸が完成
明治期以降の養蚕型甲州民家の代表的なものです。今回移築した建物も昭和4年に明治期に建てられた近隣の名門主屋を笛吹市春日居町に移築したものでした。今回はまたそこから北西へ約20km、北杜市高根町蔵原の寒冷地に移送しての再生となったため、移築する場の気候に合わせて、強力な断熱・機密化工事を行う必要がありました。
基礎、壁、屋根に対しては徹底的に断熱化、高機密化をはかり、一階の居間、台所、食堂、洗面所には床暖房設備を導入しました。また、熱の集まる小屋裏からダクトファンによって床下に温まった空気を送り込み、室内空気を循環させる熱循環装置を組み込んでいます。
敷地は998坪、延べ面積は124.5坪、工期は第一期の解体工事が平成18年11月から12月の約2ヵ月間、北杜市での再生工事が平成20年3月から21年5月、約1年2か月でした。もとの民家を処分せずに存続の道を探った所有者、そしてこだわりをもって移築再生を行った新しい所有者。日本建築文化への造詣ある両者によって、貴重な甲州民家が一つ救われました。