2015年3月30日
「花子とアン」ロケセットのお手伝い
2014年、NHKの朝ドラで話題になった「花子とアン」。モンゴメリーの小説を翻訳し「赤毛のアン」として発表した村岡花子の半生をモデルにした物語です。
花子の出身地は甲府市なので、メインのロケ地は山梨県内に置かれ、花子の生家である農家の建物は甲府市内に築かれました。セットそのものはNHKの美術スタッフの製作ですが、茅葺き屋根は弊社が担当しています。茅葺きをパネル状のパーツに分けて現場に運びいれ、クレーンを利用して敷き詰めるという工法を採用しました。感心したのは、新しい茅で葺いた屋根が古めかしく見えるよう施した美術スタッフの細工。新しいものを古めかしく見せるのも技術です。
ドラマのキースポットとして登場するのが、花子の生家の近くにあったと設定される教会です。幼いころの花子は教会の図書室で本に親しみ、やがて翻訳者へと育っていくのです。ロケ地となったこの教会は、韮崎市民俗資料館の敷地内に併設される「蔵座敷」でした。韮崎宿の豪商だった小野家所有のもの。明治初期の築造とされ、1985年に韮崎市に寄贈され現在地に移築されました。
「花子とアン」の人気をふまえ、小野家蔵屋敷は修復工事が行われました。現場監督は弊社の石川和重。大阪の老舗工務店で修行し、故郷に戻ってきた若者です。この建物は2階建てで、1階は主人の居間として、2階は貴重品を収める倉庫として用いられていました。内外装ともに改修し、竣工後は地域の文化財はもちろん、ドラマをしのばせるパネルなどが展示される予定です。
また、民族資料館の敷地内には、花子の生家である農家のセットが移設されました。内部は見ることができませんが、外観は農家の暮らしが再現されています。