2015年5月21日
世界遺産「富岡製糸場」に寄せて
富岡製糸場の東繭倉庫は、フランス人建築家ブリュナによって明治4~5年にかけて造られた西洋建築です。夏場に高温多湿多雨で木材が腐朽しやすい日本にあって、なぜこの建築物は150年もの長い年月を生きぬいてきたのか?
その秘密は柱間を埋めたレンガにあります。レンガは非常に吸水性が高く、また乾燥時には蓄えた水分を蒸発させる。この性質のため、外壁の柱や梁、桁といった木材は横殴りの風雨にさらされたときもレンガが水分を吸い取ってくれたおかげで、湿気に害されることが無く長寿を保ったのです。
実はこれと同じことが日本の土壁にも言えるのかもしれません。いずれにしても短命の建築物に埋め尽くされていく日本にあって「木骨レンガ造」はもう一度見直されてもいい建築技術でしょう。