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2016年4月1日

国登録有形文化財 旧ヤマジュウ田村家住宅

東蔵・西蔵 一棟約30㎡の土間を、共に床張りし多目的に利用予定

東蔵・西蔵 一棟約30㎡の土間を、共に床張りし多目的に利用予定

東京都福生市にある旧田村家の主屋、蔵ほかの改良工事が完了しました。この住宅の旧所有者である田村家(屋号は仐ヤマジュウ)は、明治44年(1911)に旧福生郵便局を住宅の向かいに開設しました。大正時代になると局内で電報電話業務を、その後電話交換業務を始めるなど、旧福生村の発展につながりました。

平成25年に建物が福生市へ寄贈され、一般公開のための改修工事を弊社が行うことに。

屋根裏につけられた棟札から、この住宅は明治35年(1902)に建てられたこと、西土蔵は明治37年(1904)、東土蔵は明治44年(1911)に建てられたことが判明しています。

主屋は平屋建てで、正面向かって右側に土間がある六間取り。周囲を廊下がめぐり、風呂場やお手洗いが建物内に設置されています。収納スペースが機能的に配置されていることも特徴。江戸時代以来の伝統に近代的な要素を加えた建物で、改築等はされていますが、明治期の様子を今に伝える貴重な建物です。

桧造りの正面門扉

桧造りの正面門扉

南西面外観 外壁は灰漆喰(はいしっくい)塗り、縁側の雨戸は保存し代わりにガラス戸を巡らせた

南西面外観 外壁は灰漆喰(はいしっくい)塗り、縁側の雨戸は保存し代わりにガラス戸を巡らせた

本三和土(ほんたたき)の玄関、大土間

本三和土(ほんたたき)の玄関、大土間

立派な大黒柱は1尺2寸角の欅(けやき)材

立派な大黒柱は1尺2寸角の欅(けやき)材

奥座敷10帖 壁は灰漆喰塗り

奥座敷10帖 壁は灰漆喰塗り

仏間8帖 ヤロウ畳(縁無し畳)

仏間8帖 ヤロウ畳(縁無し畳)

勝手口 無双窓(むそうまど)の部屋は女中部屋

勝手口 無双窓(むそうまど)の部屋は女中部屋

旧台所(現在は事務室として使用予定) カマドから立つ土管の煙突が面白い

旧台所(現在は事務室として使用予定)カマドから立つ土管の煙突が面白い

蔵はともに2階建てですが、屋根の組み方や窓の設置場所が異なります。

西土蔵には、結婚式などの際に使うお膳やお椀などのほか、新年に使う干支の名前の入った桶など、生活に関連する道具類が収納されていました。一方、東土蔵には郵便局で使われた道具類などが収納されていました。

発注は福生市、設計は株式会社マヌ都市建築研究所。着工は平成27年10月、完了は平成28年3月31日で、約5か月間の工程でした。