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2018年3月7日

大本山向嶽寺総門 修理工事完了

2018年2月19日
官庁猊下、末寺ご住職方、総代役員、檀信徒、工事関係者が参列して落慶式が行われた

臨済宗の大本山向嶽寺の総門(通称「黒門」)は江戸期に建立されました。四脚門としては、たいへん雄大なもので、間口が15尺(4545mm)、奥行きが14尺(4242mm)、関東にある数ある四脚門の中で最大級のものです。

県道の拡張により移動を余儀なくされた総門は、2015年9月5日地鎮祭が行われたのち全解体され、部材は伝匠舎の作業場で腐朽箇所の修理がおこなわれました。その間、現場では現況より4m北へ移動した位置へ基礎を打設、6個の巨大な礎石が移動されました。

竣工正面
参道の奥に重要文化財の中門が見える

向嶽寺の第3世で八王子の廣園寺の開山である峻翁令山(しゅんのうれいざん)の書「禅林法窟」の扁額が掛かる。柱脚には木製の礎盤が置かれた

塩の山を背景に竣工した総門の雄姿

調査の結果、柱脚の2度切り詰めによって15cmほど柱が短くなっていること、腐食によって柱脚の楚盤が6本とも失われていることなどが判明。修理方法は、文化財の学術的な専門家に相談する中で、これら後世の改変部分を現状変更して、元の形状に復することになりました。これによって総門の高さは約45㎝高くなったのです。

着工前の総門
柱脚の礎盤はなく、低く見映えしない

巨大な礎石、総門は現況より4m北側へ移動された

上棟時
組み上がった勇壮な軸組、台輪と海老虹梁の上に棟木が再び置かれた

工事着工は2015年9月、県道の土木工事に合わせ最終的な工期は延長され、
落慶竣工式が行われたのは2018年2月、実に約2年5か月に及ぶ工程でした。

総門の正面に富士山を見る。向嶽寺の名前は富士山に向かう寺の意、寺から見て真南に富嶽を仰ぐ宗教的な立地。ところが総門の向きは、故意にわずかだが富嶽を正面から外している。日本人の意識の奥深さを感じる事象

向嶽寺の航空写真。方丈から仏殿、中門までは真南に富士に向かっているが、中門から総門にかけてその軸線はわずかだが西に触れているのが解る