2020年3月27日
山梨に伝わった江戸情緒ある絵様
古い襖の絵様の話題です。平成29年8月10日、甲州市塩山の菅田天神社の裏で表具店を経営されている桐原武仁さんから、二つの古い木箱をいただきました。
中身は昔桐原さんの祖父が使っていた襖(ふすま)の摺込型紙(すりこみかたがみ)だと言います。
伝匠舎では、文化財などの建造物の修理をしているので役立つかもしれない、というありがたい理由での寄贈でした。貴重な資料であり、古い建造物の襖紙や壁紙を修理する場合には、確かにその復元に有用な資料であると考えられます。しかし、これを調査して体系的に整理する時間がない、やむなく弊社の古材ギャラリーの倉庫の二階の棚に放置されることになります。
それから1年4か月、たまたま古材ギャラリーを訪れていた染色家で「さおり織あとりえ510」を主宰する後藤紀子氏が運命的にこれを発見。江戸情緒あふれる襖の美しい絵様の数々に心を奪われた様子で、これを譲り受けたいと所望されました。そこで元の所有者である桐原武仁さんの同意を得て、引き渡しの後、その調査と保管とその利活用を計っていただくお約束で、資料一式を後藤紀子さんに寄贈することになりました。