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2021年4月25日

三椚熊野神社:ご本殿を移築保存修保

各部材に番付札を打って解体開始、屋根と小屋組みが解体され、化粧の垂木が見えている

千木鰹木(ちぎかつおぎ)が棟に載った神明造の社殿の妻側に、流れ向拝の付いたような形状である、熊野神社特有の本殿を移築解体保存修理しています。

解体時に発見された琵琶板に書かれた墨書によって、本殿は京保二年(1717年)、今より約300年前に着工あるいは完成しただろうことが推測されます。

その後、いつの頃か三椚地区へ遷座移築されていたものが、戦後再び往古の現在地に再遷座されたという歴史を持ち、移築の過程で後補の造作と思われる部位も見られますが、江戸中期のたいへん美しい社殿の形状を保っている貴重な建物と言えるでしょう。

工事着工前の三椚熊野神社の御本殿

山梨の名工(令和2年受賞)の有泉社寺部長が本殿建築を担当

びわ板①現代語訳:府中工町後祢屋 〇〇〇〇長右衛門 同 七左衛門 同 加左衛門 享保二年 ひのとのとり 四月吉日 神主 父〇〇〇〇 七拾四歳 依田出雲守 恭洛 [花押]

びわ板の位置、斗組と斗組の間を埋める板

解体修理される部材 四隅の円柱

解体修理される部材 地垂木、ヒエン垂木

解体工事の着工は令和2年11月末、完了は12月末、約一か月の工程でした。その後、当社の作業場にて腐朽した部材の修理工事が行われています。