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2021年9月15日

万松山円融寺山門 社寺バンクの活用

山門建築のスタッフ(左から萱沼設計部長、石原現場監督、近山棟梁、大工の古屋)

秩父三十四カ所霊場の26番札所として有名な埼玉県秩父市の万松山円融寺。臨済宗(禅宗)の古刹である円融寺の御住職様から山門を建立したいというご相談をいただき、弊社がご提案したのは「社寺バンク」の活用でした。

日本では古来から、建築物を解(ほど)き、組むという再生活用法があります。時々の事情によってその場を離れる必要がある建築物を丁寧に解体して組み直すことにより、新しい命を吹き込むのです。伝統工法による建築技術で組まれた建築物は、解き組むという再生にふさわしい造りをしています。社寺の世界でも当たり前のように、宗派の枠を超えて建築物が受け継がれてきました。

弊社では、役目を終えた社寺建築物を解いて保管し、必要としている寺社仏閣へ移築するお手伝いをさせていただいております。それが「社寺バンク」です。建立当時の職人の優れた技術や想い、良質な木材等を生かして解き組むことは、伝統工法による建築技術に精通した弊社だからこそ成せる技です。新材で一から造るよりコストも時間も節約でき、SDGsにかなった注目すべき活動です。

名門某寺院の山門(解体前)


解体材(軸部材)


解体材(基礎、軸石)


古民家情報(社寺物件)に登録された図面(平面図、断面図)


今回移築させていただいているのは、名門某寺院から譲り受けた山門です。木目の詰んだ梁や柱、しっかりとした礎石が特徴で、これから円融寺様と長い歴史を歩んでいくのに最良の巡り合わせとなりました。完成は12月予定です。

新たな建設に際して原寸図を描く棟梁と現場監督


新たに必要な補足木材を加工


木材を段取り良く組んでいく


円融寺での作業風景