2021年5月1日
現代建築の三大巨匠が造った家
海の物でも山の物でもない、北国の物でも南国の物でもない、地域も判らないし国籍は不明。そうした美しいインターナショナル建築が、100年ものあいだ造られてきました。その神髄は、鉄とコンクリートとガラスによる新技術。確かに素晴らしい!私自身も憧れていました。
私は木材で日本の蔵型建築を造っている一人の田舎者ですが、半世紀前からインターナショナル建築に強く憧れながら、同時に違和感も抱いてきました。なぜなら、それらの優秀作には、地域の歴史や文化といった不可解で俗的な側面が完全に排除・浄化されていたからです。
インターナショナル至上主義の流れの中で、果たして日本はどうなったかといえば…残念なことに、美しい日本の風土が育んだ100年前の麗しい家並の多くは失われてしまいました。日本建築の如何にあるべき?は棚上げされ、国籍が無い、自由で分別の無い、短命で社会資本になり得ない、一般消費財としての使い捨ての建築群が、林立する電柱や電線の無残な広がりとともに地上を埋め尽くしていったのです。
今、人類は時代を無理にでも変えようとしています。なぜなら2030年までに変われなければ、今後持続可能な経済活動や普段の日常生活ができなくなると科学者が予言しているからです。しかし、戦後75年をかけて巨大な消費社会を築きあげてきた日本が、そんな簡単に方向転換できるでしょうか?もしできなければ人類は破滅の道を歩む?「種は滅ぶ」のことわざのごとく…
2021.5.1 石川重人