2015年6月8日
時間が止まった集落「赤芝」
地球の温暖化によって将来価値を高めるだろう集落がある。標高が900mの草原地帯にある「赤芝」もそのような場所だろう。
それにしても戦後の日本の経済成長からしっかり取り残された感のある赤芝である。集落の中を歩いても、古びた木組みと土壁の家はあっても俗に文化住宅と呼ばれる建物が一軒も見られない。
集落の入り口には天王桜の御神木がそびえ、その足元を清流が滝となって流れ下っている。近くには明治大正期のものと思われる小学校の校舎も(すでに民間企業の所有となってはいるが)傷んだ状態で修復されることもなくそのまま残っている。「無いものは無いのだからからあきらめろ」と言うより、「無くなってしまったものが全てある」。
赤芝の可能性は逆に大きいのでは。山梨で3番目の重要伝統的建造物群保存地区となることも不可能ではないだろう。あるいは現代社会に不適応を唱える若者達の新たな入植地となる道も無きにしも非ず。いずれにしても、いろいろな可能性を秘めた希少価値の集落である。