2022年5月25日
日伝建の「尾道」見学会に参加
令和4年5月22日(日)23日(月)の2日間、広島県尾道市で行われた、一般社団法人 日本伝統建築技術保存会の総会と春季研修見学会に出席しました。
今年の「民家の学校・塩山講座」の参加者は総勢32名と大盛況!内訳は全国各地(大阪、茨城、岡山、静岡、岐阜、愛知、石川、山梨)から参加した受講生が20名、講座を運営するスタッフが12名です。
『赤芝集落』は山梨市牧丘町の山間地区、標高900mにある約35戸の小さな集落です。周辺には美しい渓流と草原状の農地が広がり、遠くに大菩薩山系を望む空は明るく爽やかです。
明治から昭和にかけて活躍した山梨が誇る俳人飯田蛇笏翁とその息子龍太翁。二人が暮らしていた家屋敷「山廬(さんろ)」周辺の竹林整備が11月24日に行われました。
弊社の神棚には、出組で二重の扇垂木、総反りの素晴らしいお堂の模型が御社として祀られています。これは私が恩師と慕う畑野経夫先生(文化財建造物保存技術協会元参与)が、高校3年生の時に作った秀作です。
令和3年7月18日から20日の3日間、赤芝集落の調査を実施しました。今回調査を務めた工学院大学総合研究所および同大学建築学部調査員は、冨永研究室修士課程の学生とNPO法人山梨家並保存会(弊社社員も数名)です。
山梨でフリーカメラマンとして活躍されている浅川毅(つよし)さん。令和3(2021)年6月24日(木)~30日(水)までの6日間、山梨県立美術館ギャラリーにおいて「引き継ぐ伝統、故郷の達人」をテーマに、浅川毅・第二回写真展を開催しました。
海の物でも山の物でもない、北国の物でも南国の物でもない、地域も判らないし国籍は不明。そうした美しいインターナショナル建築が、100年ものあいだ造られてきました。その神髄は、鉄とコンクリートとガラスによる新技術。確かに素晴らしい!私自身も憧れていました。
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私は木材で日本の蔵型建築を造っている一人の田舎者ですが、半世紀前からインターナショナル建築に強く憧れながら、同時に違和感も抱いてきました。なぜなら、それらの優秀作には、地域の歴史や文化といった不可解で俗的な側面が完全に排除・浄化されていたからです。
インターナショナル至上主義の流れの中で、果たして日本はどうなったかといえば…残念なことに、美しい日本の風土が育んだ100年前の麗しい家並の多くは失われてしまいました。日本建築の如何にあるべき?は棚上げされ、国籍が無い、自由で分別の無い、短命で社会資本になり得ない、一般消費財としての使い捨ての建築群が、林立する電柱や電線の無残な広がりとともに地上を埋め尽くしていったのです。
今、人類は時代を無理にでも変えようとしています。なぜなら2030年までに変われなければ、今後持続可能な経済活動や普段の日常生活ができなくなると科学者が予言しているからです。しかし、戦後75年をかけて巨大な消費社会を築きあげてきた日本が、そんな簡単に方向転換できるでしょうか?もしできなければ人類は破滅の道を歩む?「種は滅ぶ」のことわざのごとく…
2021.5.1 石川重人